37 小川のせせらぎ


頂白山に登ったときのことです。下山途中に、左側に、ほんとに小さな小川がありました。丁度、太陽の光を受けてきらきら輝いていました。右側の小川は落ち葉が舞っていて、光ってはいませんでした。同じ流れなんですがね!
それにしても、誰もいない秋の日の一日でした。         

小川は太陽の光を浮かべて
自らの水面をきらきらと光らせる
光という枯葉を流すかのように
それでいて 決して沈まない 光の枯葉
小川と光のせせらぎ

小川は太陽の光を自らのものとし
自らの水面を光りに変え
草木と遊ぶ 地の太陽として
ゆらゆらと揺れる草木と遊ぶ
光と化した小川のせせらぎ    

やがて 遊び疲れた木の葉は
小川の水面に落ちて行く
力尽き 光を求めるかのように
一枚 また 一枚と 落ちて行く
カサカサと擦れあって

遊び疲れた小川も また やがて
木の葉を受け入れ 水面を塞ぐ
次から次ぎへと 水面を塞ぐ
偽りの光の化身から
本来のせせらぎに 戻るために 


2000年10月8日  頂白山にて

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