28 カエルの門番


目国内岳に登ったときのことです。5合目と6合目の間に大きな二枚の岩が自然の門のようになっているところがあります。そこが岩の門です。そこにカエルが飛び跳ねていましたよ。どうも、岩の門の門番みたいでした。

目国内岳の岩門は扉を閉ざしていた
分厚い 重そうな 白い霧の扉だ
カエルの門番は 雨が降って嬉しくなり
草の上を飛び跳ねすぎて
門の鍵を落としたようだ

カエルの門番は 門の鍵を探していた
どうやら 鍵はリンドウの花の中
めったに咲かない花の中
しっかり閉まった花の中

霧の向こうに行けますか
私たちの行く道はありますか
私たちの登る山はありますかと
聞くと

霧の扉は閉まっていても通れます
鍵がないと 晴れには出来ないけどと
カエルの門番は言う

リンドウさん咲いて下さいと
花の上を飛び跳ね 言う
カエルの門番は 泣き顔 汗だらけ


2000年9月12日  目国内にて

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