201 風の山登り

待根山に登ったときのことです。尾根に上がると風が強くなってきました。ピンネシリを見上げると山肌が波打ほどでした。

オユプレラは 体に当り
耳に音を立てるが
目には涙を溜めて
見えなくする

キキリは 飛ぶことを止め
花や葉にしがみつく
ポポチリは とうに住処に帰り
羽を休めているだろう

オユプレラは 誰も居なくなった
一人舞台を造り出し
山肌を逆撫でし
山登りを楽しんでいる

オユプレラは 波涛のように
山肌を揺らしながら姿を現す
時には 龍の如く 長く
時には カムイの如く 力強く

そして シカントに舞い上がり
何処までも登って行き
雲の白や 空の青に
溶けてしまう

雄叫びを残して


2009年6月29日 待根山にて




 
オユプレラ
キキリ
シカント
ポポチリ
:疾風
:虫
:天空
:ウグイス

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