192 影のシャワー

 増毛山道を辿ったときのことです。林道は膨よかに雪で満たされ誰も通った跡もありません。林から抜けてきた縞模様の影が綺麗でした。


まだ春遠い 古の路 増毛山道の近く
膨よかに雪で満たされた林道を辿ると
風に吹かれて 木々の影が現れて
真っ白な雪面を 縞模様に変える

その縞模様の路を辿ると
スキーも 手も ストックも
影に切り刻まれて
細細に 動いている

影の中で キラキラと
光を感じて動いている
顔も 縞模様に違いない
心は ピエロのように踊っている

決して動くことのない
光と影の縞模様の中で
動くものだけが光っている
日が蔭ると 静寂な雪原が広がるのみ

影のシャワーに洗われた
雪と時に埋もれた 古の道 増毛山道


2007年3月31日 増毛山道にて

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