183 マントヒヒの帽子

樽前山に唐沢林道から登った時のことです。覚生(おぼっぷ)川の源頭となる外輪山の一角に亀裂がありました。その土壌流亡の跡がマントヒヒの顔に見えました。それが、登って行く内に溶岩円頂丘が段々ずれて来てマントヒヒの帽子に納まりました。西山に上がって溶岩円頂丘を見ると、目から涙をたらしている鳥に見えました。帰りに振り返ると帽子は無くなっていました。

太陽の陽をまともに受た
マントヒヒの顔から
汗が流れでる
暑くて 暑くて 堪らない

マントヒヒは
頭の後ろにある帽子を
手繰り寄せようと
口をへの字にして頑張る

マントヒヒは帽子を被り
ようやく 暑さから逃れたが
帽子と思ったのが
大きな鳥だった

鳥も 暑くて 暑くて 堪らない
涙をたらして 頑張ったが
何処かへ飛んで
行ってしまった

また マントヒヒは
一人で 汗を流し続け
谷を刻み 山裾を潤す
覚生の源と化身する


2005年7月23日 樽前山にて



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