181 雪庇の横笛

本貫気別山に登ったときのことです。山頂には小さな雪庇が連なっていました。その裏には洞爺湖が隠れていました。雪庇は風が吹く度にピューピューと音を出していました。

真白き頂に 雪庇を連ね
春と冬の狭間を作る

洞爺湖を渡ってきた
湖温の風に吹かれると
横笛のような音色で
春の詩を歌う

寒風が 雪庇の横笛を奪い
吹くと 冬のメロディーを奏で
ヒュー ヒューと音を出す

冷たい北風の息は
青空に粉雪の糸を引いて
通り過ぎて行く

頂の雪庇は
北風の通り道
春風の形を作り出す


2005年3月6日 本貫気別山にて

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