16 沼と山の遊び


ニセコの大谷地からイワオヌプリに行った帰り道、なぜか大沼の岸辺の石に腰掛け休憩した時のことでした。


太陽が
厚い 厚い雲間から
ようやく 顔を出して
大沼に言う
遊んでよ

イワオヌプリも
厚い 厚い雲を押し上げて
ようやく 頭を出す
大沼に言う
遊んでね

大沼は
水面(みずも)を雨にたたかれ
風にさざ波を立てられ
太陽とイワオヌプリに言う
これでは遊べないよと

小鳥たちも騒ぐ
ケッキョ(遊ぼう) ケッキョー(遊ぼうって)
大沼は困り果てていたが
岸の近くのわずかな水面に
山や光の影、鳥の鳴き声(こエ)を映す


 2000年8月7日 大沼にて

ちょっと大沼さんに聞いてみたら、息を切らして言っていましたよ!
風雨風雨(ふうふう)と!小鳥の鳴き声は水面に映るとどうなるの、「こエ」は鏡に写しても「こエ」だよ!
 これ以上、遊んでもらうのも、みなさん忙しそうだから相棒と二人で遊ぼうと思い、黙って、水面を見ていました。
 そうすると、パチーン、パチーンと水面が動いているように見えまし た。相棒が、ここには魚がいるのかと、盛んに聞いていました。
 私は生返事で、水面を見続けていました。どうやら、風によって水面下の石の頭が顔を出しているようでした。相棒もそれに気づき、石だね、石だねとさかんに、感心していました。
 ああ、もう雨が降りそうだ、帰ろうか!  

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