156 足跡

金山に登ったときのことです。昨夜降った雪が積もって、一面の銀世界でした。雪の上には真新しい、動物の足跡が付いていました。振り返って、シュプールを見ると私のスキー技術が丸見えでした。    

樹下の白い雪に
可愛い足跡や
吃驚して跳ねた跡が続く
沢や新雪の尾根筋

その足跡を追うと
歩き易いが 時として 
裏切られたように
籔や幹の下に飛び跳ねる

飛んで付けた足跡は
空には見えず
ただ 白い雲が行き交う
青空 空の下

シュプールは
美しい曲線にはならず
ただ 無粋に 吾は
新雪を 引き裂く


2003年2月22日 金山にて

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