152 雪の芽吹き

四ツ峰に登ったときのことです。深い新雪のラッセルに疲れて、頂上には行けず、沢の途中でダウンしました。沢なので、青空が出ていても、一寸風が吹けば、梢に積もった雪がまた空中に舞い上がります。相棒は青空なのに雪が降っていると不思議がっていました。    

青い空の下で キラキラと輝き
吹き上がる銀色の雪
寒い風が通り過ぎるとき
雪の生まれを露にする

木々の芽から 糸を引くように
銀色の雪が生まれ出る
まるで 蜘蛛の糸の様に
小さな雪が 次から次へと現れる

曇り空で 輝きを失い
雪の魔力が落ちるとき
鼠銀の雪となり
重たく 地上に垂れ下がり
寒い風に翻弄され
地上を這いずり回る

木々は 大地の水を吸い
風が 雪の芽吹きを誘い出す
大地の水は 雪となり
一度は空を舞い 地上に降りる
輝いても 輝かなくても


2003年1月18日 四ツ峰にて

山の詩もくじへ  次雪の滝ヘ   北の山遊詩へ