139 岩の額縁


岩登りのメッカ赤岩山に遊びに行ったときのことです。青い空の下、青い海の上では岩が綺麗に見えました。霧がかかるとその状況は一転してしまうのです。    

青い空と紺碧の海の下で
自らの姿を 海に 空に
自在に入り込ませる岩たち

見上げれば青い空を
見下ろせば紺碧の海を
切り取る岩たちのエッジ

雲がその岩のエッジを隠すとき
岩たちはその力を失い崩れ去り
白い海霧に動かされ遠くへ去る

人はその虚像の岩たちを掴み
自らの力を信じつつ
ザイルの先に 夢を見る

岩たちが 空と海の青さを
引き立たせる額縁なのか
空と海が 赤い岩たちの姿を
引き立たせる額縁なのか

それは 白い海霧の中で
その人が見る夢しだい


2002年8月16日 下赤岩山にて

山の詩もくじへ  次秋を誘う実ヘ   北の山遊詩へ