135 切り裂かれた湖


南ペトウトル山へ登った時のことです。然別湖を背にして登リ始めるのですが、山腹(ヌプリノシキ)の登山道からは木々の間から湖が見え隠れします。それが、シャクナゲ(リヤエムス)の白い花が咲き出し、嶺(ヌプリキタイ)に上がると一変して見えるようになるのです。

急な道を登りきり その道が
やがて 尾根道となるころ
何気なく 後を振り返ると
木々たちは然別湖を
細切れに 切り裂き始める

細切れの湖が 痛がりもせず
静かに たたずんでいるようだが
何時もの様に 山々を映してはいない

何所からとも無く 霧が舞うとき
湖は 細切れから解放される
一時の安らぎの後
また 切り裂かれた湖がたたずむ

いや 然別湖だけではなかった
白雲山も 天望山も 木々たちが
細切れに切り裂いていた
ヌプリノシキ ヌプリノシキの登山道

霧が舞い 霧の舞いが終わるころ
リヤエムスの白い花々が咲き始めると
切り裂かれた山々や湖は
何時の間にか 元の姿に戻る
ヌプリキタイ ヌプリキタイの登山道


2002年7月14日  南ペトウトル山にて

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