115 水の面桜

盤渓山に登ったときのことです。雪はもう、腐りかけ、小川は一段と大きな音をだして流れていました。水が急に増水したのか、半透明の雪が流れの中に取り残され、木の枝を美しく映し出していました。

雪融け水の面に映る
芽吹きの幹が
激しく 動く強風なのに
じっと動かず 映っている

雪融け水の面の下
取り残された
半透明な雪の中
雪に埋もれた幹だった

雪の桜 白雪桜
水の中の白い花
風にも散らずに咲いている
水の面桜 満開に

まだ 白い大地なのに
一筋の小川の辺で
ひっそり ひっそり
春の流れに咲いている


2002年3月21日 盤渓山にて


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