ペンケユグトラシナイ山(1010.9m)三角点名:冷水沢

 ポイント
 傾斜がなだらかで幅の広い林道と、尾根取り付きの目印になる立派な看板冷水沢林道があるので分かり易いが、主稜線は平な林の中なので山頂方向が分かり難い。下りの林道は初心者には絶好のゲレンデとなる。
 国土地理院の三角点:冷水沢を見ると、三角点の記の中で、所在地の俗称としてペンケユグトラシナイと記されていたので山の名前とした(1000mを越える山に沢の付く名前は可愛そうなので)。HYMLの林さんによれば、昭和6年の北海道の登山では冷水澤岳と呼ばれているようだ。
日勝四の沢林道ルート

 アクセス
 国道274号線を日高側から日勝峠へ向かい、嶺雲大橋を過ぎ直角に曲がり6合目を過ぎると、左側に日勝四の沢林道入口がある。除雪された駐車スペースは単独の場合は2台、グループの場合は4台程度だ。
 国土地理院地図  GPSトラックは「2007.2.17」の地図帖へ 周辺地図
=風景写真をクリックすると大きなサイズになります=
 2月17日<2007(H19)年 往復スキー5.890km 登り3:01 下り34>
 カーナビが故障してしまったので、地図で確認するが迷いに迷って日勝四の沢林道入口に到着する。幸い、林道の入口は除雪が行き届いていて感謝する。林道は誰も入った形跡は無く、無垢の雪道が延びていた。林道に入って直ぐにタヌキと思われる足跡が沢から上がって付いていた。林道を辿って行くと、カーブの所に大きなカーブミラーが設置されている。道には今度はキツネの足跡があった。キツネの足跡は何時見ても一直線で綺麗だと思う。
日勝四の沢林道入口 タヌキの足跡? 林道のミラー キツネの足跡
 小刻みに林道をジグを切って登って行くと、突然、青空の下に真っ白な広場が目の前に現れる。目の前には林道がジグを切ったので、日高の山々が現れる。真っ白な林道に影を落とす木立の中でキラキラと光る雪の結晶が綺麗だ。振り返れば、三角点:熊見山とその手前にあるパラボラアンテナ群が見渡せた。
広場に出る 日高の山々 木の影に宿る光 パラボラと三角点熊見山
 西へ向って青空の下、真っ白な雪道が続く。振り返れば、まだ、日勝峠の山々が見えていた。北に向うと山々を望めなくなるが、頭上の青空を見上げれば真っ白なダケカンバが綺麗だった。雪原に目を転じれば、エゾリスと思われる足跡が点々と付いていた。
青空と真っ白な道 日勝峠の山々 ダケカンバと青空 エゾリスの足跡?
 日勝四の沢林道は冷水沢林道に合流し、その合流地点に立派な看板冷水沢林道が設置されていた。林道の看板でレリーフ(浮き彫り)なのは珍しいと思う。看板から植林された比較的大きく育った林の中を隙間を見付けながら登って行き、主稜線を目指す。余りに真っ直ぐ登ったので頂上手前のコブ(971m)に着いてしまう。ここから、少し下り気味に山頂を目指す。林の中にはウサギの足跡があり、相棒と見て回るが、不思議なことに足跡が忽然と宙に消えたように無くなることだ。相棒は雪の中に潜ったのではと言うが、潜った形跡もない。緩やかな主稜線を辿って行くと、この山一番の大木に出会う。林の中はウサギの楽園らしく寝座と思われる所もあり、糞が散乱していた。
冷水沢林道の看板 ウサギの足跡 山一番の大木 ウサギの寝床
 自然の中に、予期しなかった北電の雨量計施設が現れる。施設があると言うことは、夏道があると言うことだろうか。雨量計の場所から日勝峠の山々や隣の沙流岳が望めた。山頂はもう少し奥にあり、辿り着くと大きな木々に囲まれた場所だった。山頂の細い木にはピンクテープが2本括り付けられていた。括り付けられているテープの高さから判断すれば、夏に来た時に括り付けたようだ。夏に来る三角点ハンターも居るのだろうか。雪を掘り返して三角点を見たい衝動に駆られるが、深そうなので諦める。
北電の雨量計 日勝峠の山々 沙流岳 山頂(大×)
 山頂で目の前の沙流岳を望みながら、昼食とする。食後のココアを飲んでいるときに、急に雪がチラつき出したので、早々に下山を開始する。
 主稜線を下っていると、大きな雪の塊が「頭を垂れたおじさん」の様に見えた。知らず知らず自信を無くしてしまった自分と重ねて見てしまう。朝に見たタヌキと思われる足跡を写し、歩幅をストックの目盛りで計ってみると20〜25cmだった。下りの林道は初心者には絶好のゲレンデだった。
沙流岳 頭を垂れたおじさん タヌキの足跡? 足跡の歩幅

 =地名考=
 冷水沢「三角点の記」に所在地の俗称として「ペンケユグトラシナイ」の名前があったが、アイヌ語では「グ」ではなく「ク」が正解だと思う。千呂露川の支流にも「ペンケユクトラシナイ川」「パンケユクトラシナイ川」があり、こちらが正解でしょうね。
 ペンケユグトラシナイの意味は「ペンケ=上流の・ユク=鹿・トラシ=登る所・ナイ=沢川」となる。山の北側にも「幾寅」の地名や「ユクトラシュベツ川」があり同意語と思われる。

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 二人の山行記録(遊びの時間を含む)
 2007(H19)年2月17日 晴れ 新雪ラッセル20cm 往復スキー5.890km 登り3:01 下り34
 8:35林道入口→10:07冷水林道看板→10:59北電雨量計→11:06山頂11:44→12:00冷水林道看板→12:18林道入口