乙部岳(1016.9m)

 ポイント
 初級の山にしてはコブを幾つも越えるので登り堪えがある。姫待峠から舗装された作業道はあるが、峠まで来る林道は落石があったり、整備が行き届いていないので自動車で行くのは困難だ。通れる時期があり、その時期に当たった人は、運が良いと思う。
尾根〜作業道(姫待峠)峰越林道コース
=風景写真をクリックすると大きなサイズになります=

 アクセス
 国道223号線を熊石から南下し乙部町の鳥山に入ると、左側に青い看板があり、富岡⇒の下に小さく「乙部岳」と書かれた道標がある。ここの小茂内川沿いの道を左折し、奥へ進むと舗装道路が分かれるが、左の姫川沿いの古い舗装道路を進む。砂利道の峰越林道になりしばらく進むと、右側に「乙部岳登山口」の看板と「沢コース」の入口がある。この先にトイレのある広場があり、それを通り越すと「尾根コース」の登山口があり、広い駐車場もある。
 国土地理院地図 GPSトラックは「山の地図帳2004.5.8」へ Google Map
国道223号線の看板 沢コースに建つ看板 沢コース 尾根コースの駐車場
 5月8日<2004(H16)年 往復13.143km 登り3:12 下り4:03>
 尾根コースの登山口にある登山ポストの中には登山届があることはあったが、汚れていて記帳は不可能だった。仕方がなく、記帳しないで登山口にある鳥居をくぐる。初めから薄暗い林の急登が続くので、愛棒は体調不調を訴える。ポカリスエット入りの特製ドリンクを飲ませ、ゆっくり登る。途中で、雨に流された熊の糞(下痢便?)が登山道の真中にあったが、愛棒は体調が悪いのか気が付かないで登って行く。私が死んだら、あそこには○○があるとか言い出す。よっぽど体調が悪いようなので、行ける所まで行こうと決める。613mのコブ近くなると大きな岩が現れる。
尾根コースの登山口 急な傾斜を登る 岩が現れる(大×) 岩の傍を
 大きな岩をかすめながら登って行くと「九郎嶽社奥宮木段」と書かれた道標が出てくる。これから傾斜は緩くなるが笹が生い茂っている登山道を登る。キクサイイチゲがわずかながら顔をだす。相変わらずブヨが体の回りに飛んでいる。休むと一斉に攻撃してくるので、虫除けは全く効果がなく、殺虫剤のスプレーをするが、数年も前に買ったものなので底をついてしまっていた。
大きな岩をかすめ 九郎嶽社奥宮木段分岐 傾斜が緩くなる キクサキイチゲ(大×)
 傾斜が緩くなったのは良いのだが、登山道には笹が生い茂ってくる。道南はダニも多いので嫌な気分になる。残雪が現れると、明るい尾根道になりほっとする。
 残雪がまだある尾根道を登りコブを越える度に尾根が細くなり、左側が切れ落ちた道も通過するが、岩の黄花シャクナゲやツガザクラがあるのには驚いた。
笹が生い茂った道 残雪 明るい尾根道 左の切れ落ちた道
 766mのコブからは1010mに向かって下って行くが、ドームのある山頂がまだ遠くに感じられる。766mのコブを振り返ると遊楽部岳が真っ白に浮かんでいた。その手前に雄鉾岳と思われる山姿が望まれる。相棒は苦しかったが来て良かったと言う。山頂も残雪の奥に見え、もう少しだ。
766mのコブ P1010mの登りで山頂を 遊楽部岳と雄鉾岳を P1010mから山頂を
 1010mのコブには大きな岩があり、暫し見蕩れるが、登山道が雪の下に隠れているので探す。テープも無く、分岐の標識も無いが、どうにか探し山頂へ進む。愛棒は変な虫がいると言い出した。良く見ると、赤い大きなダニだった。もう、ダニが出て来たのかと嫌になる。次のコブには山頂標識風の壊れた板切れがあった。振り返ると1010mのコブは結構山らしく見える。駒ケ岳も少し霞んではいるが見えていた。駒ケ岳の左側に三角形の山があるが狗神岳だろうか。山頂へはもう少し尾根道を辿る。
大岩のあるP1010m P1010mを振り返る 駒ケ岳 山頂への尾根道
 小さくアップダウンを繰り返し雪庇が壊れた残雪を登って行く。壊れた板切れのあるコブを振り返ると結構山らしく見えた。最後の山頂直下の登りを登りきると大きなドームが待ち構えていた。その手前に、円形の立派な方位盤があり、山頂標識もあった。誰もいないので、一段と高い方位盤に座り大展望を満喫しながら昼食をする。
残雪の尾根道を 板切れのコブを 山頂直下 山頂(大×)
                     ←大
    遊楽部岳 雄鉾岳 ドーム 狩場山 小鉾岳 砂蘭部岳    
                     ←大
                         駒ケ岳     
                     ←大
                 P1010m
 帰りは、急なところよりも平らなところを時間をかけて下ることにして、舗装された作業道を下る。この作業道は遮るものがないため頗る展望が良かった。下山途中、直ぐに1010mのコブ、山頂、遊楽部岳、雄鉾岳、小鉾岳、砂蘭部岳、遠くに狩場山と立て続けに見える。
P1010m 山頂 遊楽部岳と雄鉾岳 狩場・小鉾・砂蘭部
 作業道は所々残雪で覆われているので、雪の上を歩く。江差の海も霞んではいるが肉眼では良く見えた。山頂を振り返ったり、姫待峠と小鉾岳を見ながら下る。小鉾岳はやけに近くに感じた。道自体は単調だが、景色が良いのであっという間に姫待峠に着いてしまう。ゲートは開け放されていたが、振り返ると「立ち入り禁止」の看板がかかっていた。
江差の海 山頂 姫待峠と小鉾岳 姫待峠のゲート(大×)
 山頂を振り返えったり、ゲートの向かって左側にあるはずの「姫待峠の看板」を探すが見当たらなかった。峠は雪で覆われているので、雪の下かもしれないと思う。峰越林道脇には花も咲いていた。流石に岩山だけあって白いエゾイワハタザオが多い、黄色のオオバキスミレも林道脇を飾る。
山頂を望む 姫待峠を振り返る エゾノイワハタザオ(大×) オオバキスミレ(大×)
 ニリンソウもキクサキイチゲと共にでてくる。今朝登った尾根コースも一望でき、最初の急登、3つのコブ、最後のコブから1010mへの登りなどを思い出す。林道脇には左右から沢が集まり2つの滝が流れ落ちているところがあった。
ニリンソウ(大×) 尾根コースの尾根 左の滝 右の滝
 岩肌は規則正しくレンガのように積まれていた。この岩が極めて脆く、道の至る所に転がっている。この尖った岩がタイヤに食い込んだら、パンク間違いないと思う。林道の脇には林が多くなり、林の中にはカタクリが群生していた。林のお陰で花はあるが、展望が遮られていて、山頂の面白い写真が撮れなかった。ようやく撮れる位置にきたら、少しインパクトに欠けてしまった。と言うのは、山頂の切り通しが丁度、開いた口に見え、ドームを咥えているように見えるのだが。林道の法面にはシラネアオイが顔を出す。
レンガのような岩 カタクリの群生 ドームを咥えた山頂 シラネアオイ(大×)
 オオカメノキも咲き出していた。林道は奥姫川橋の直ぐ上流にある峰越橋?で通行止めだった。奥姫川橋の下を覗くと姫川の清流が流れていた。
オオカメノキ(大×) 峰越橋?で通行止め 姫川の清流(左:上流、右:下流)

 =バッテリ考=
 駐車場に着くと、まだ、1台駐車していた。その1台を残して先に帰ると、途中の林道の真中で、地元の人と女性が立ち話をしていた。車を停めると、女性が町まで送って欲しいという。地元の人は家が直ぐ近くだという。良く話しを聞くと、ライトを付けっ放しにしてしまったので、エンジンがかからなかったと言う。携帯電話も圏外で繋がらなかったようだ。私は、ブースタケーブルで繋げばかかると言い、その女性を乗せて、駐車場まで引返し、無事にエンジンを始動し、別れる。
 また、エンストでもしたら困るので、女性が後から来るのを見届けながら走り、舗装道路で別れる。山30年のベテランだったが距離からして1時間は歩いたのではなかったろうか。お疲れさん!
 =対応策=
 山道では、調子の悪い車は後について走る。エンストして止まっても、前に動ける車がいるので方向転換して再始動できるが、反対だと共倒れになりかねない。
 =ブースタケーブルの繋ぎ方=
 1.バッテリのプラス(カバーのある方)とプラスを繋ぐ。
 2.次にマイナスとマイナスを繋ぐ。
   順序は駄目なバッテリの電極をグリップし、次に救援バッテリの電極をグリップする。
   外すときは反対の順序でする。
 ブースターケーブルと牽引ロープは山の必需品 

 =ダニ考=
 家に帰ってきたら、愛棒の耳にダニが食らいついていた。良く見るとまだ時間がたっていないので、毛抜きで引き抜き、抗生物質入りの軟膏を塗る。

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 二人の山行記録
 2004(H16)年5月8日(土)
 晴れ 往復13.143km 登り3:12 下り4:03
 8:34尾根登山口→9:42九郎嶽社奥宮木段分岐→10:35P766m→11:15P1010m→11:46頂上12:13→13:33作業道入口→15:15奥姫川橋→16:16尾根登山口