大平山obirayama(1190.7m)

 ポイント
 登山道は滑りやすく、道は踏み跡程度のところもあり、藪漕ぎもあるので、条件の良い日を選んで登る山だと思う。展望が得られなければオオヒラウスユキソウの咲く1109mピークまででも十分充実感がある。傾斜地の登山道では、草の踏み抜きに注意。三角点名はオオビラヤマだ。
泊川コース

 アクセス
 北側から、島牧村に入り、泊川橋を過ぎてすぐ道道島牧美利河線(宮内温泉方向)に左折する。途中宮内温泉を過ぎて更に奥へ進むと、カーナビ画面には神威鍾乳洞が泊川の左岸に現れ、ナガセ橋、河鹿(かじか)トンネルを通過する。河鹿トンネルを出た途端、広い広い駐車場となる。
 国土地理院地図 GPSトラックは山の地図帳「2006.9.3」へ Google Map
=風景写真をクリックすると大きなサイズになります=
 9月3日<2005(H17)年 往復6.284km 登り3:56 下り3:13>北の山游詩:ぶなの瞳
 泊川の左岸に「河鹿の湯」があるはずだと、泊川の対岸を見るが、赤茶けた岩があるだけで、湯気は立ち込めていなかった。この赤茶けた岩が石灰華ドームのようだ。温泉に行くには湯の沢川を下って、泊川を渡り、川に穴を掘って入らなければならないようだ。
 登山口への標識は全くないので、泊川の上流を目指すと、直に湯の沢橋を渡る。右手に見えてくる泊川の流れは綺麗で、岩も変わっている。まもなく、山側の登山口へ左折する。奥には大きな看板が左右にあり、その1つに登山届ポストが付いている。
河鹿の湯 泊川の上流を目指し 登山口へ左折 登山口
 最初から、ジャングルの様な鬱蒼とした沢道を登る。良く見ると蔓性の草が伸び放題で、他の草の上を覆っているようだ。暗い沢道の途中に、山一番大きいと思われる大木があり、見惚れながら休憩をする。この暫しの休憩もブヨや蚊の攻撃に合い、歩かざるを得ない。登山道は水が流れて掘れてしまっていて歩き難く、おまけに滑り易いので苦労する。
 ようやく、登山道は沢から離れ、尾根に上がりだす。林には白いオカトラノオが揺ら揺らと揺れている。道は木漏れ日のある林の中に伸び、歩きやすくなったが、突然、愛棒が膝が痛いと言い出す。エアーサロンパスを吹きかけ、小休止を取り様子をみる。
 顕著な尾根筋になると、山にしては異質な空間に迷い込む。白っぽい幹に彫られたイタズラだ。内容は「年月日、氏名、年齢」等で、一番古いのは昭和4年(?)、一番新しいのは平成7年だった。暫し、唖然として見ていた。
ジャングルの様な沢 山一番の大木 沢から尾根へ 落書きの林
 森林限界を越えると、一気に展望が開け、見渡すと背後に気になる三角形の山や狩場山が見えだす。花の季節は過ぎたとは言えエゾシオガマ、トウゲブキ、トリカブト等が道端を飾る。810mピークを目指し草原と化したお花畑を登る。
三角形の山が 狩場山 エゾシオガマ(大×) P810mへ
 810mピークに着いて1130mピークを見上げると、その高さに圧倒され、登ることが出来るのか不安になる。ピークの上に立とうとしたら、愛棒が「植生回復のため入るな」と書いてあると言う。なるほど、小さな看板が立っていた。
 一旦、コルに下がり、また、登り出すと、ピークが見えなくなり威圧感は薄れる。左側には1130mピークの岩尾根越しに島牧村が見え出す。小さな岩尾根をトラバース気味に交すように登山道が付けられている。
1130mピーク コルから登りだす 島牧村方向の海 岩尾根をトラバース気味
 この小さな岩場には、赤く綺麗ではあるが格子状にひび割れした岩が顔をだしていた。アサギリソウの白い花も風に揺れていた。この岩場には鎖場(ロープ)が2か所あり、相棒は苦労して登る。二つ目の鎖場には「ロープに頼るな」と書いてある。ロープが切れたら大変なので、あくまでも補助手段として、自分で登りなさいと言うことか。この岩場を越えると1109mピークでオオヒラウスユキソウが待っていた。
赤い綺麗な岩 アサギリソウ(大×) 鎖場1 鎖場2
 岩場で咲いているオオヒラウスユキソウを見つけ感激する。更に、岩場を登ると、道端に大きな花のオオヒラウスユキソウが咲いていた。岩場の上にも咲いているが、わがバカチョンのデジカメでは登山道からは写すことは出来なかった。じっと見つめるのみで、高嶺の花と言う表現がぴったりだった。暫し、オオヒラウスユキソウを見ながら、岩場を登って行く。1109mのピークに登る道は植生回復のため、立ち入り禁止になっている。恨めしく、上を見上げるが裸地で、まだまだ植生の回復はしていなかった。更に、花を見ながらルンルン気分で、トラバース気味に登って行く。
オオヒラウスユキソウ 岩場を登る オオヒラウスユキソウ 花を見ながらトラバース
 オオヒラウスユキソウばっかり咲いているわけではなく、ウメバチソウ、トリカブト、トウゲブキ、リンドウ、シャジン、ヨツバヒヨドリ、アザミ、ニガナ等もある訳だが、見えるだけで、目に入ってこない。いつの間にか、岩場の肩に登りだす。肩からは、奥にあるピークが見える。はじめ、山頂だと勘違いするが、どうも高度が足りないので、GPSで確認すると、案の定、頂上は左奥の1030mピークの奥だった。
ウメバチソウ(大×) P1109mの肩に登りだす 奥のピークに向かって 1109mの肩に着く
 道も傾斜にただ道があるだけのところがあり、草を踏み抜くと滑落するところがある。チシマリンドウの大株も顔を出す。1030mピークをトラバース気味に目指し藪を漕ぎ、藪から出ると、山頂が見え出す。再び、藪に突入するが、藪が重たいので、私が前になり藪を持ち上げながら進む。ようやく、頂上直下にたどり着く。
P1030mを目指す チシマリンドウ(大×) 藪に突入 頂上直下
 頂上からは狩場山、島牧の海、寿都の海、噴火湾が望まれるが、天気が良ければ大展望が広がっていることだろう。残念ながら今日は雲が多すぎた。それでも肉眼では結構見えるのだが写真では限界がある。
狩場山 島牧の海 寿都の海 噴火湾
 大平山の山頂は外れた山頂標識があり、手にとって記念写真と思ったら、下を向いている間にシャッタが下りてしまっていた。山頂は座ると、展望が無いのと、途中の藪漕ぎを考え、1190mピークまで下ることにする。幸い今日は貸切なので、もう誰も登ってこないので、道の真ん中で食べようと勝手に決める。
 愛棒が先に下りるが、道が行き止まりだと戻ってくる。その道は寿都方向を眺めることができるビューポイントだった。行ってみると、寿都と噴火湾が同時に望め渡島半島の幅が実感できるが、座るところがない。
 やはり、オオヒラウスユキソウを見ながら昼食をするために、山頂を後にする。藪漕ぎを終え振り返ると、丸い山頂が見えていた。また、藪漕ぎをしながら帰るが、後ろにぴったり付いて来た愛棒が笹のムチで悲鳴を上げるが、どうしようもなく突破する。
山頂 山頂を後に 山頂を振り返る 1109mピークへ
 ようやく、昼食場所に到着するがウスユキソウの咲いている場所では腰を下ろす所がないので、「踏めば植生が痛みます登山道から眺めてください」と書かれた平らな道の真ん中に陣取る。オオヒラウスユキソウは良く見えないが、1109mの岩壁を見ながら食べる。
 食べ終わって、下山を開始すると、いつの間にか登ってきた男性がオオヒラウスユキソウを撮っていた。その男性はもう咲いていないと思っていたので感激たと言っていた。われわれは、写真を撮りながら下る。時折、愛棒が別品さんのオオヒラウスユキソウを見つけては撮ったらと言っていたが、そのうち、誤解されそうなので、撮したらと言うと言う。今度からは、撮るのを止めて撮すことにした。
 慎重に鎖場(ロープ)を下るが、途中で、葉っぱのような色をした地味な花を見つける。
昼食場所に急ぐ 下山開始 鎖場を下る これでも花
 また、慎重に鎖場(ロープ)を下り、滑る登山道を810mのコルへ下る。途中にヤナギランと思われる薄紫の花やシデムシと思われる甲虫に会う。この虫の目は何処にあるのだると思うが、子供の頃のように虫を捕まえて、良く見ようという気がしなかった。捕まえられたら命の短い虫も大迷惑だろう。しかし、渦巻きカリントウの様なカドバリヒメマイマイには悪いことをしてしまった。登っている時は道端に居ても踏んづけなかったのだが、下りでは、バリっと踏んづけてしまった。
また鎖場を下る 810mとのコルへ下る ヤナギラン シデムシ(大×)
 コルからまた810mピークを登り、ピークに着き、島牧の海や狩場山を眺める。再び、810mピークから鎖場(ロープ)を下るが、2つ目の鎖場(ロープ)で愛棒が滑って転ぶ。痛めている膝を打ったようだ。直ぐに、エアーサロンパスを吹き付け小休止する。また、樹林地帯を下るが、登りよりも滑る登山道に苦戦する。展望の無い下りに、疲労困憊となりながら、登山口へ、そして、河鹿トンネルの駐車場に辿り着く。
 帰り支度をしていると、先ほどの男性も下山して来た。内心あれから山頂を目指すのは無謀だと思っていたので、やれやれと思う。男性もオオヒラウスユキソウを見て十分満足したような笑顔だった。
 その前に、車3台で到着したご一行さんがいて、リュックを背負い腰に金槌を下げ、川原を一心不乱に見つめていた。6人位の真ん中にいるのは教授のようで、岩石か化石を採取しに来たのだろうか。私も、学生時代、地質、岩石、化石に興味があり、その道に進んでいたらあの中にいる連中と同じようないでたちをしていたかと思い、何故か苦笑していた。
810mピークへ登る 鎖場を下る 樹林地帯へ 河鹿トンネルの駐車場へ

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 二人の山行記録 (遊びの時間含む)
 2005(H17)年9月3日 曇り 往復6.284km 登り3:56 下り3:13
 7:31駐車場→7:35登山口→9:03森林限界→9:30P810m→10:29P1109m直下→11:14P1030m付近→11:27頂上11:39→11:51P1030m付近→12:09P1109m直下12:47→13:32P810m→14:01森林限界→15:14登山口→15:20駐車場