金比羅山・西山山麓(峠215.5m)
=有珠山山系=

 ポイント
 散策路は金比羅火口災害遺構散策路と西山山麓火口散策路があり西山散策路には南口と北口がある。金比羅・西山山麓コースは金比羅火口災害遺構散策路の入口から西山散策路北口を山道と砂利道で繋いでいる。入口は分かり難いが、入ってしまうと棒状の案内標識や看板が設置されている。綺麗な二つの火口沼も間近に覗ける(珠ちゃん火口は藪漕ぎになった)。西山や金比羅山の山頂までは行けず、最高地点は峠になる。

 アクセス(カーナビ入力:洞爺湖ビジターセンター 0142-75-2555)
 洞爺湖湖畔の道道2号線(洞爺湖登別線)から洞爺湖ビジターセンターを目指す。ビジターセンターでリーフレットを入手し、係員の説明を受ける。駐車場はビジタセンターの前庭と後にあり、展望広場の一角に散策路の入口がある。
 国土地理院地図 GPSトラックは「2009.10.22」の山の地図帖へ 周辺地図
金比羅火口災害遺構コース
=写真をクリックすると大きなサイズになります=
 10月22日<2009(H21)年 一周1.2km 20分> 
 展望広場に上がると、荒涼たる景色が広がっている。防災施設の看板を見ながら@床固工・山腹工、A砂防えん堤、B導流堤、C遊砂地、D流路工等の位置を確かめる。隣りには昭和52〜53年の噴火の解説もある。
 看板の地図では、ここは第二展望だのようだ。最初に、どこも壊れているようには見えない「やすらぎの家」に向う。
展望広場 防災施設看板 昭和52〜53の噴火 やすらぎの家
 鉄矢板の砂防えん堤方向に白い石碑が見えて来るので先に寄って見ると、ゆかりの碑と言い教職員の保養所跡だった。やすらぎの家に近づくと、窓枠ごと壊れていた。横を通って見ると火山灰に埋まっている。玄関は半分以上埋まっているが、看板は健在だった。
ゆかりの碑 やすらぎの家横 やすらぎの家横 やすらぎの家玄関
 流れて来たという橋を見ながら奥の「桜ケ丘団地に向うと、壁が壊れ中の鉄筋が剥き出しになっていた。
やすらぎの家の説明 流れてきた橋 流れてきた橋の説明 桜ケ丘団地
 やすらぎの家----------
 2000年3月31日午後1時7分、有珠山が噴火しました。第1回目の噴火は
西側の西山山麓で起き、黒い噴煙は高度約3,200メートルまで上昇し、北東方
向に流れ洞爺湖畔を中心に広い範囲に灰を降らせました。翌日の4月1日午前11
時40分頃には有珠山の北西側にある金毘羅山麓でも噴火が始まりました。噴火口
からは噴煙や噴石とともに、大量の火山灰を噴出し、国道を含む広い範囲で降灰が
観測され、同時に噴出した人頭大の噴石は火口周辺の建物にも被害をもたらしまし
た。何度か水蒸気爆発を繰り返し、ついに4月8日金毘羅山斜面の流路工に熱泥流
が流れだしました。
 この「やすらぎの家」は町営温泉浴場として昭和63年に建てられたもので、噴
火する前年に1億円の費用をかけて修復したばかりで、地元の人達と観光客が楽し
く交流できた場所でありました。
 流れてきた橋----------
 2000年4月8日の朝、金毘羅山A火口からマグマに充分熱せられ
た地下水は大型の水蒸気爆発をおこし、火口から溢れ出した泥流は珍し
い熱泥流となって国道230号に流出した。しかも”77年噴火後、街
を襲った泥流対策のため設けられた流路工がその機能を充分に発揮した
かにみえましたが、斜面を滑り降りた熱泥流は流路工内からあふれ国道
230号に架かっていた木の実橋を浮き上がらせてしまいました。橋は
約87メートル押し流され公営住宅の2階部分に激突して壁のように立
ち上がり、泥流の流れは公営住宅団地と町営公衆浴場「やすらぎの家」
や「みずうみ読書の家」そして「洞爺湖温泉小学校」側に流れ込み泥流
被害を大きくしてしまいました。
 桜ケ丘団地の説明を読むと、壊れているのが1階ではなく2階だと言うことが分かる。傍に立っているジオパークの看板を見ると、これから行く西山までの地図が載っていた。再び、やすらぎの家と流れて来たという橋を見ながら入口に向う。途中、さくら橋のところに遺構の案内板があった。どうやら、反時計回りに回った方が良かったかと思う。
桜ケ丘団地の説明 ジオパーク看板 やすらぎの家と橋 さくら橋と案内板
 桜ケ丘団地----------
 2000年有珠山の噴火は、広範囲にわたりマグマ水蒸気爆発が起き複数の火口からは繰り
返し噴煙が上がり、火口付近では噴石も多数認められました。今回の噴火では実に60数箇所
も噴火口ができました。
 この周辺には公営住宅が5棟124戸が建っておりました。4月1日午前11時40分、金
毘羅山麓でも噴火が始まり、噴火口からは人頭大の噴石とともに大量の火山灰を噴出し、建物
が破壊されたり、熱泥流により大きな被害をもたらしました。
 水蒸気爆発を繰り返しながら4月8日の朝、金毘羅山斜面の流路工に熱泥流があふれ、翌9
日以降に熱泥流で木の実橋・こんぴら橋の2橋が押し流され、公営住宅の2階部分に激突し1
階部分のほとんどは、泥流と堆積した火山灰で埋もれてしまいました。この周辺は203世帯
378人の住民が住んでおりましたが、自宅に戻ることもできず、流れ込んだ泥流により家財
道具を取り出す事もできない状況となりました。
 被災した住宅を「公開しないで」と言う声も多く寄せられましたが、噴火の遺構物として保
存し火山噴火によるエネルギーの大きさと貴重な体験を風化させることなく次世代に引き継い
でいくことが何よりも大切であり、この地域の減災、防災につながらことを期待しております。
           ←大
金比羅山の床固工と山腹工
                     ←大
砂防えん堤(後の山は有料展望台)
金比羅・西山コース
 10月22日<2009(H21)年 木の実沢展望台往復4.653km 1:24>
 監視小屋に戻って、東側に延びる砂利道を「案内標識のT」に従い進む。「金比羅山←」の看板もある。導流堤の上を歩くところもある。導流提の上には「Bench-Mark(水準点)」が埋め込まれている。
砂利道を 案内標識T3 金比羅山へ← Bench-Mark
 木の実沢に架かる丸木橋を渡り、案内標識T4が現れると砂防えん堤の上に出る。砂防えん堤越しに洞爺湖が一望出来るようになる。
丸木橋を渡る 案内標識T4 砂防えん堤の上へ 洞爺湖を
 道路を横切るとカーブミラーの所に案内標識T5が現れる。金比羅山の床固工と山腹工が要塞の様に見えて来る。有料の展望台のある山が見え出し、案内標識T6が現れる。
案内標識T5 金比羅山 有料展望台が 案内標識T6
 珠ちゃん火口展望台に着くと、珠ちゃん火口(KB火口)が覗ける。少し上がると有くん火口分岐点に着く。分岐点から火砕丘を登って行く。
珠ちゃん火口 珠ちゃん火口沼 有くん火口分岐点 有くん火口へ
 有くん火口(KA火口)の火砕丘を登り切ると、内側にコバルトブルーの水をたたえた沼が出現する。何でこんなに青いんだと驚く。
                     ←大
有くん火口(KA火口)沼
 有くん火口を後にして登って行くと、木の実沢展望台の看板が現れる。ここからは洞爺湖や有くん火口の窪みが見える。尾根にあがると広い砂利道になる。砂利道の奥には有珠山が見えていた。
木の実沢展望台 洞爺湖を 有くん火口を 林道へ
 砂防事業概要図は大雑把過ぎて、散策には必要ないが、林道は金比羅山と西山の間を目掛けて延びている。案内標識T8に従い峠を目指す。峠付近でダンプカーとすれ違う。峠から下って行くと煙突が立っているが、建物は壊れてしまったゴミ焼却場があり、その前に案内標識T9が立っていた。更に、下って行くと西山散策路の北口駐車場が見えてくる。ここで、12時近くになっていることに気が付き、おにぎりを車に置いてきているので、西山まで下らないで引き返すことにした。
砂防事業概要図 案内標識T8 案内標識T9 西山北口へ下る
 帰りも有くん火口沼を見ようと火砕丘を登って行くと、洞爺湖の奥に羊蹄山の裾野が見えていた。
           ←大
羊蹄山と洞爺湖
 もう一度、真っ青な有くん火口沼を覗く。
           ←大
有くん火口沼
 珠ちゃん火口沼も近づいて覗いて見るが、こちらは日光の関係か青くは無かった。それにしても、9年前はここが噴火していたとは信じられないほど草が生い茂っていた。
           ←大
珠ちゃん火口沼
 洞爺湖や洞爺湖に浮かぶ中島を見ながら下って行く。舗装道路だと思っていた導流提の上を歩いて、最後は駐車場へたどり着く。
中島を 洞爺湖を 導流提の上を 駐車場へ
 金比羅山火口有料展望台コース
 12月1日<2002(H14)年>
 西山(2000年新山)火口散策路の北口に着くと、冬期閉鎖中だった。仕方がなく車で金比羅山へ上ることにするが、ここもゲートがあり冬期休業中だった。この山は個人の持ち物らしく、開業していれば観覧料1000円払わなければならないようだ。元の国道沿いは噴火で荒れていた。駐車場から西山火口散策路のピークに白煙を上げているところも見られる。
 駐車場の奥に展望台が見えていたので、奥へ入らせていただく。そこからは、洞爺湖越しに羊蹄山も真っ白で綺麗だった。温泉街方向に「珠ちゃん火口:KB火口」も大きな口を開いていた。展望台で羊蹄山や洞爺湖をバックに記念写真を撮す。
西山散策路の北口 洞爺湖と羊蹄山 珠ちゃん火口 展望台(大×)
駐車場へ(大×)
 駐車場に戻ると、駐車場からも洞爺湖が綺麗に見え羊蹄山も真っ白で綺麗だった。羊蹄山の右側には、尻別岳、貫気別岳、中島越しに早月山、温泉街の上に四十三山が見えていた。
                       ←大
羊蹄山    尻別岳 貫気別岳   中島 早月山             四十三山
 有珠山の方向は逆光で上手く撮せなかったが、一番奥に有珠山、手前に金比羅山、右に西山、有珠山と西山の間に小有珠が見えていた。
有珠山  金比羅山  小有珠       西山
 内浦湾と洞爺湖の間には有名な山は無いが、ウインザーホテルの建っている幌内山、手前の笹山が見えていた。
                       ←大
内浦湾                   幌内山 笹山
洞爺湖を 西山
 洞爺湖と西山を振り返りながら駐車場を後にする。
 最後に、噴火で隆起して水が溜まってしまった国道を見る。この沼にも名前があり西新山沼(西山火口沼)と言うようだ。
            ←大
国道が沼に

二人の山行記録もくじ3へ 次2000年新山から金比羅山山麓縦走へ アソビホロケール山へ

 二人の山行記録(遊びの時間含む)
 2009(H21)年10月22日(木) 晴れ 災害遺構+西山コース 一周5.853km 1:44
 10:48駐車場10:50遺構散策11:08→11:11道標T-3→11:12Bench-Mark→11:17道標T-4→11:20道標T-5→11:24道標T-6→11:26珠ちゃん火口展望台→11:30有くん火口展望台11:33→11:36木の実沢展望台→11:39道標T-8(林道へ)→11:44道標T-9(煙突)→11:49引き返し(西山駐車場まであと360m地点)→12:02木の実沢展望台→12:06有くん火口展望台12:10→12:13珠ちゃん火口展望台12:15→12:32駐車場
 2002(H14)年12月1日(日) 晴れ 小春日和 金比羅山火口有料展望台