朝陽山choyozan(1370m)

 ポイント
 層雲峡温泉や黒岳、烏帽子岳、凌雲岳などが間近に、石狩岳や大雪湖は遠くに望める。頂上へは全く道がないので藪漕ぎが必要だ(ハイカーでは無理)。目の眩むような谷底がある。途中に道標は一切なく、パノラマ台への分岐に擦れた営林署の看板があるのみ。登山道が山頂まで開通したようです。三角点は色清舞(merekisamaupu?)1370.16m。
=風景写真をクリックすると大きなサイズになります=
層雲峡園地コース

 アクセス
 層雲峡温泉街の北側に流れる石狩川に1本の人専用の橋が架かっている。その近くには数台の駐車が可能だ。この橋の袂には「層雲峡園地」と書かれた看板がある。この橋を渡ると環境庁が作ったと思われる立派な公園がある。歩道にはウッドチップが引敷き詰められている。振り返ると楯岩や黒岳、凌雲岳が綺麗に見ることができる。この公園には資料館のような建物(閉鎖中?)もあり、その右隅奥トイレの方向に「パノラマ台登山口」の看板がある。
 国土地理院地図 登山道の地図 Google Map
層雲峡緑地へ 石狩川に架かる 立派な層雲峡園地 楯岩を望む
黒岳、凌雲岳を望む 環境庁の施設 右奥トイレの方角へ 登山口
 6月7日<2003(H15)年 1300m地点まで往復約5.6km 登り1:53 下り1:00>
 今日も愛棒に登山口で見送られ登る。入口は草が茂っていて、先が思いやられたが、直ぐに綺麗な登山道となった。そして、白い花が道端を埋めていた。
オドリコソウ ハクサンチドリ ワニグチソウ クルマバソウ(大×)
 始め岩肌を見たときにはこんな急な崖が登れるのか不安だったが、ジグを切って登って行く。道端には大岩が現れるので、岩山を想像してしまう。
スダヤクシュ 結構岩のある登山道の様子
 急登が終わり、900m地点の台地に上がると、最初に扉の壊れた観測施設が現れる。地図にパノラマ台と記された地点だった。振り返ると烏帽子岳、黒岳、凌雲岳が望まれる。ここが、パノラマ台だと思い込んでしまった瞬間だった(実はパノラマ台ではない)
ミヤマキンバイ 何かの観測施設 烏帽子岳を(900m) 黒岳を(900m)
 また、急登が始まり、分岐が出てきた。右はくだり気味なので、真っ直ぐ登る(この右への道は後でわかったことだがパノラマ台への分岐だった)。そういえば、営林署の標識があったが、何だろうと思って通り過ぎてしまった。
 間もなく、尾根に突き当たった。この尾根からも黒岳方向が望まれた。
分岐(右:パノラマ台) ミツバオウレン(大×) 尾根に突き当たる 1145m尾根から
 この痩せ尾根に沿って登山道が伸びていた。パノラマ台の上は平らな痩せ尾根となり、展望を期待したが、木が大きくてすっきりしない。それでも、木立越しに黒岳はじめ大雪の山々を望むことができた。暫し、高山植物を見ながら登って行くと、道端には、獣の銀色の抜け毛が落ちていた。鹿の尻の毛ではないかと思いながら登って行く。
尾根道を登る タチツボスミレ(大×) コミヤカタバミ
 平らな尾根を辿って行くと、また、登りになる1200m辺りで、一度登山道が無くなってしまう。ちょっと道が無くなるのが早いと思い、立ち止まって考えていると、ダニが1匹ズボンの上を這っていた。鹿の糞があるから鹿がいてダニがいるんだと納得する。
 笹薮は胸までだったので、少し藪漕ぎをすると、直ぐに尾根から外れた左側に刈分道を見つける。登山道よりは断然ワイルドだった。刈分道を辿ると石狩川まで続く、深い谷が突然現れて感動する。ここまで来た甲斐があったと思った瞬間だった。岩を見ていると、こちらを見ている岩があった(パレイドリア現象)。
この後は刈分け道に 石狩川に落ちる谷 切り立った崖 こちらを見ている岩(大×)
 この崖の縁を登って行くのだが、右側の崖が気になって、極力避けて通る。何せ500mは一気に落ちている勘定になる。ここから道はちょっと荒れてきたが、それでも切り立った山を見ながらまだ登る。足元にはハクサンチドリ、フテリンドウが咲き、振り向くと三国山、音更山、石狩岳の山並みが望まれる。
切り立った山 ハクサンチドリ フテリンドウ(大×) 三国 音更 石狩
 崖の縁を登って行くと谷側には遮る物が無いので、大雪湖が遠くに見え、対岸の切り立った崖も良く見える。崖の縁に延びる刈分け道も、笹薮の道になる。高度が上がると木立越しだが赤岳方向が見えて来る。
大雪湖を遠望する 切り立った崖 刈分け道の状況 赤岳方向
 行く手に、太い木が現れてロープが巻かれている空間に出た。このロープをくぐろうとすると、ザックに絡まってなかなか取れない。もう行けないよと教えてくれているようだった。
 これから先は背丈を越える笹薮だったので、今日の頂上とした。GPSは1305mと表示していた。この藪からも木立越しに大雪の山々が望まれた。一息付いて、頂上に到達出来なかった脱力感を背負いながら、だらだらと下って行く。登っているときに見えなかったマムシグサを見る。
藪の中の広場 1300m地点から大雪 マムシグサ
 愛棒に電話をすると、黒岳の展望台から望遠鏡で朝陽山を見ていたと言う尾根に私のオレンジ色の帽子とザックが見えた時があったようだ。
 下りると、愛棒が出迎えてくれた。のんびり貸切の公園を歩いて帰る。ウッドチップのクッションの利いた歩道は疲れた足にはこご地良く伝わる。公園の案内板に書かれた説明看板や大雪山の出来方などの看板を見て帰る。
 橋を渡ると、鳥が結構川原で戯れていた。改めて、朝陽山を見返り帰途に着く。車を走らせていると、ダニが腕の所で這い回っていた。窓を開けて外へ摘まみ出す。ズボンを見ると小さいダニが一生懸命何処かへ行こうとしていたが、これも摘まみだす。
愛棒が出迎え 案内板(内容下記) 人道橋から上流を 人道橋から頂上方向

 =層雲峡考=
 「層雲峡はなぜできたか」の看板には[黒岳および周辺景観の成り立ち]が次の通り書かれていた。
 約3万年前ほどに、表大雪のお鉢平を火口とする大爆発が起きました。このとき、火山灰や軽石が多量のガス、水蒸気とともに火砕流となって斜面を流れ下り、山麓の谷を埋めました。また、この火砕流は今の大函付近で石狩川を堰き止めて、今の大雪湖よりも大きな湖を作り出していました。
 山麓の谷を埋めた火山灰等の堆積物は、高温のため融け、その後、冷えて固まり溶結凝灰岩と呼ばれる岩石(層雲峡溶結凝灰岩)になりました。冷え固まるときに収縮してできた割れ目が「柱状節理」です。
 こうして、柱状節理を有する岩ができた後、堰き止められていた湖水が弱いところを破り、それから勢い良く流れ出た水が長い年月をかけて溶結凝灰岩を侵食していったため、層雲峡に美しい柱状節理の岸壁が形成されたのです。
 一方、大爆発によって生じた爆裂火口を取り巻く外輪山が長い間に侵食され、黒岳や桂月岳、凌雲岳などの峰峰ができました。

 =山名考=
 朝陽山はasahiyamaともchoyozanとも読めるのですが、決定的な資料が無いので、層雲峡朝陽亭がchoyoteiに習ってみました。

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 二人の山行記録(遊びの時間含む)
 2003(H15)年6月7日(土) 晴れ 1300m地点まで往復約5.6km 登り1:53 下り1:00 
 9:02登山口→9:38観測所→9:54パノラマ台分岐→10:15痩尾根→10:35刈分道へ→10:40深い谷→10:55藪最終地点10:59→11:06深い谷→11:27痩尾根→11:36パノラマ台分岐→11:39観測所→登山口11:59