146 十二単の山


ウペペサンケ山に登ったときのことです。ピークを越せども越せども頂上に着かないので、頂上が無いのではと思いました。

山を越せばまた山があり
コルに下り直せと
冷たい風は 言い残す
我は忠実に下り そして 登り返す

足の下の岩は新しい岩なのに
歩いている道は新しい道なのに
歩いても 歩いても 同じ尾根の上
見通しの利かない 尾根の上

冷たい風が吹き抜ける
体が風のように冷たくなる
風が 霞みが 嘲笑う 笑うだけ
お前は何をしてきたのだと

やがて 山は山頂を見せてくれた
山は僅かに微笑んだ
日は少し暖めてくれた
風は力を弱めてくれた
ほんの少し頂上にいる間は


2002年10月12日 ウペペサンケにて


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