5 おかあさんの音


山メール仲間の足立氏は幼いころの思い出として、おかあさんの音が心に残っていると言っていました。その音とは内職でミシンを踏んでいる音とのことです。みなさんはどんな音が心の中に残っているでしょうか?

幼い頃のおかあさんの音
それは 限りなく過去の妄想
それは 限りなく懐かしい妄想
それは 一人一人のかけがえのない妄想
それは 人が踏み入れられない聖域
それは その人だけの宝物

おかあさんが ミシンを踏む音
それは 機械的な なんの変哲もない音
けれど ミシンの音で
おかあさんの疲れがわかる
がんばっているおかあさんの音だ

おかあさんの疲れた肩を
小さな手を振り上げて
力いっぱい叩いても
おかあさんには
くすぐったいくらいの強さ
いいえ それでも心地良い強さだったろう
そんな 肩たたきをしている音もあるだろう

遊び疲れて帰って来ると
ケーキを作っているミキサーの音
焼けるまでまだかまだかと待っていた
そんな音も おかあさんお音だろう

朝に 台所で何かを
料理している音もあるだろう
まな板のトントントンという
リズミカルなだけの音も有るだろう
そんな おかあさんの音もあるだろう

おかあさんの音はたくさんあったろう
いまでも 大人になっても
そんなおかあさんの音を持っている人って
すばらしい
それは 心の心臓の音かもしれない


2000年11月26日 自宅にて


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