1 春の詩(うた)


冬将軍と春の女神の交代を告げるように、有珠山の噴火が始まりました。
さあ、熊さん、鳥さん、木さん、花さん、日は燦燦(さんさん)と降り注ぐ夏山の季節がきましたよ。

空は晴れ あくまでも青く 真っ青に
小春日和のなりかけの

木々の根の周りに
小さな陽だまりを作り
それがだんだん寄り合って
大きな陽だまりに
まるで 春を作るかのように寄り合う

小川は音を立て流れ
マカヨが雪から顔をだし
春の香りを胸いっぱいかいでいる
チライアパッポは満面の笑みを惜しげもなく
そこいら中に撒き散らす

冬将軍はそれを見て笑う
目を丸くして笑う
腹を抱えてまだ笑う
だんだん腹が大きく膨らみ
ついに 大きな息を噴出す

あたり一面に雪が舞う
大きな陽だまりが ちぎれちぎれに
小さなもとの陽だまりに戻って行く

大きな牡丹雪が舞う
次から次へと 春の大地に降り注ぐ
落下傘部隊のように

マカヨは顔を隠し
チライアパッポから笑みが消える

春の女神はこれを見かねて
真っ直ぐ伸びたから松を天に向かって射る
次から次へと射る
ゆっくりと 確実に 射つづける
まるで ロケットが発射されるように
それでいて 静かに
次から次へと射る
ゆっくりと 確実に

冬将軍はたまらず退散する
笑いながら
どっさり、ウパスを置いて
山が水で潤い
よく花々が咲くように
木々が茂るように

鳥達がさえずる
パイカラレラ レラ イタタレラ レラ
パイカラレラ レラ レラ


2000年3月31日 自宅にて


みなさん、春が近くなり、牡丹雪に幻惑されたことはありませんでしたか。
牡丹雪を見ていると牡丹雪が静止して、から松が上に上がるように見えた経験はありませんか。

 アイヌ語小教室(山本多助さんより)
ウフイヌプリ     活火山    一日も早く沈静化するように
マカヨ        ふきのとう  苦くて食べられず良かったね
チライアパッポ   福寿草    毒があって食べられず良かったね
ウパス        雪        ノストラダムスの予言に出てきそうだね
パイカラレラ     春風     鳥の鳴き声にしたいような響きですね
イタタレラ      そよ風    同上、こんな鳴き声の鳥がいそうですね
ふきのとうと呼ぶのも良いけれど、マカヨはなおかわいいと思いませんか。 


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