上ホロカメットク山(1920m)上富良野岳(1893m)

 ポイント
 富良野岳と同様に、登りやすく景色も満点だ。雪が降ってからの登山道は一変して、危険がますので注意。集中豪雨になると安政火口の枯れ沢「ヌッカクシ富良野川」が濁流になるのでくれぐれも注意。
=写真をクリックすると大きなサイズになります=
十勝岳温泉コース

  アクセス
 上富良野町市街から吹上富良野(道道291号)線を走り、十勝岳温泉の無料駐車場を目指す。

十勝岳温泉の駐車場
 9月5日<2008(H20)年 往復11.703(内ロス2.2)km 登り3:22(含む火口+ロス) 下り2:04>
 十勝岳温泉の無料駐車場から坂を上がって行くと、登山届ポストがある。先行のご夫婦が記帳していたので、愛棒が待っている間、少し奥にある歌碑を見ていた。大きな岩には「春あけやらぬ十勝の 拓道に 防人の若き力を たぎまする」と彫られていた。横や裏を見ようと思ったら、記帳を終えて歩いて来たご夫婦に何処に登るのかと聞かれる。「上ホロ」ですと答えると、ご夫婦は「三段山」に登ると言う。
 間もなく、愛棒が記帳を済ませて歩いて来た。綺麗に整地された道を辿りだすと直ぐ、真正面に上ホロカメットク山、八ツ手岩、化物岩が見えて来る。角度が変わって今度は三段山が真正面になる。
坂を上がって行く 歌碑 上ホロ・八ツ手岩・化物岩 三段山
 何時の間にか、道は大きな石がごろごろでだす。どうやら、整地された道が雨水で削られたようだ。「三段山・三段の沼」の分岐を通過すると、一段と大きく三段山が見えて来る。登山道からはいよいよ安政火口を一望できるようになる。
道に石がごろごろ 三段山分岐 三段山 安政火口を
 ヌッカクシ富良川の河原に下る高台には監視カメラが設置されていた。安政火口や夫婦岩を見ながら河原に下りて行く。
監視カメラ 安政火口 夫婦岩 ヌッカクシ富良野川へ
 河原には水が一滴もなく難なく通過する。この川も、一旦集中豪雨が降ると、濁流と化す厳しい通過点だ。濁流が流れる溝は結構深く、沢全体が大きく削られた様に見え、以前、濁流を飛び越えた所は見当らなくなっていた。
 愛棒を分岐に残し、一人で安政火口に入ることにした。昨年、HYML仲間のs-kiさんが雪崩で亡くなられた所に行ってみたいと思ったからだ。黄色いペンキが塗られた岩や夫婦岩を目印にして谷へ入って行く。ペンキが塗られた最後の岩があり、その奥の地面からは煙が立ち込めていた。これを越えれば安政火口だと思うが、ここで引返すことにする。八ツ手岩方向に一礼して、夫婦岩を見上げて引返す。
ヌッカクシ富良野川 夫婦岩 安政火口 夫婦岩
 引き返し地点で左右の谷を写す。三段山、夫婦岩、奥に十勝岳、上ホロカメットク山があり、その前に安政火口が噴煙を上げていた。
                               ←大
三段山     夫婦岩    十勝岳 安政火口 上ホロ
 右側は逆光だったが、団扇をレンズフード代わりにして、上富良野岳、D尾根の八ツ手岩、化物岩をなんとか写す。
                                         ←大
上富良野岳  八ツ手岩            D尾根   化物岩
 安政火口から富良野盆地を見ながら帰って来ると、歌碑があり、「風に叩かれ 吹雪に耐えて 岩に根を巻く 松の幹負けるものかと 夜空に問えば 月がほほえむ 十勝岳 会田清洞作 和田松ヱ門●」と彫られていた。歌碑は道標にもなっているようだと思いながら分岐に着くが愛棒はいない。
 人の往来が多いので、安心してゆっくり登って行ったのだろうと思い、急いで登って行く。D尾根を回った辺りで富良野岳が見えて来た。富良野岳の分岐から上ホロカメットク山へと辿って行く。人の姿が無くなったので、愛棒の名前を呼びながら登って行くが、応答がない。木道を過ぎて1550m地点で展望が開け、先行する人影がない。再び、愛棒の名前を呼ぶが応答がない。
 これは、まだ、下にいるんだと悟り、急いで下って行く。再び、D尾根を回った辺りで安政火口の谷が見え出したので、大声で愛棒の名前を呼んで見る。すると、ハーイと返事が返って来た。急に、力が抜け、水を一飲みし歩き出す。それでも、分岐から上がって来る気配が全く無いので、また、名前を呼ぶと、ハーイと返事が返ってくる。
 分岐近くになって安政火口から出てくる愛棒を発見する。分岐でようやく合流するが、1時間ロスしたので、三段山にするか計画どおり上ホロカメットク山にするか悩むが、計画どおり登ることにする。

 登りながら、愛棒の話しを聞くと、最初は河原の大きな岩に陣取っていたと言う。私が歌碑に見入っていた時には数メートル下の岩に居たことになる。愛棒は中々、私が帰って来ないので、火口にでも嵌ったのかもしれないと、安政火口の谷を辿ったと言う。ブクブク湧いている穴まで行って、怖くなって、ペンキの塗っていた岩の所でオトーサーンと呼んで待っていたという。愛棒のDOKOMOは圏外では無かったが、私のSBは圏外で通じず、もう少しで遭難届を出そうかと思ったと言う。
安政火口から富良野盆地 歌碑 富良野岳 1550m地点
 安政火口を振り返り、何も無かったことに感謝しながら登山道を辿る。D尾根を回ったところからは富良野岳が見え出すが、気の性か先程より少し霞んで来たようだ。道標「8富良野岳まで2.8km」を通過すると、富良野岳の分岐となる大きな岩を越える。再び、分岐に着き、道標「10富良野岳・上ホロカメットク山分岐まで1.7km」が立ち、岩に黄色いペンキで「十勝岳・上ホロ↑」と書かれた方向へ左折する。木道を越えると、見覚えのある紅葉した山肌が見えて来た。どうやら、引返した地点の1550m辺りだった。
安政火口 富良野岳 富良野岳分岐 引き返し地点に
 富良野岳を見ながら急傾斜の階段を登って行くと、道標「10富良野岳・上ホロカメットク山分岐まで0.6km」が出てくる。そこに、一人の男性が休んでいて「私は山頂から40分で下りてきた」と言う。あいさつをして別れようとすると「後1時間位かかるので気を付けて」と励ましてくれた(実は、これからの600mは曲者なのだ。急な階段の登りになり、実際の距離は900m位ある感じがする)。階段の登りはナナカマドが紅葉していたが、もう葉が萎れかかっていた。それでも、綺麗な紅葉と富良野岳を見ながら登って行く。D尾根を上がりきると化物岩と三段山が安政火口を挟んで対峙している。
富良野岳 ナナカマドの紅葉 紅葉と富良野岳 化物岩と三段山
 D尾根の尾根道からは三段山から十勝岳のパノラマが広がってくる。上ホロカメットク山の北東尾根にある大砲岩と三段山を結ぶOP尾根には登山道があるのだが、直感的に危険すぎると思う。
           ←大
三段山     OP尾根  大砲岩 十勝岳
 尾根からは上ホロカメットク山や八ツ手岩が見え出す。八ツ手岩への登りは痩せ尾根が続き、上富良野岳が正面に見えて来る。道端には、まだ、イワギキョウが咲いていた。
上ホロカメットク山を 八ツ手岩 痩せ尾根 イワギキョウ
 富良野岳の方向は雲がかかっていたが、三峰山の山並みが良く見えていた。
           ←大
三峰山         富良野岳
 八ツ手岩も目の前に現われ、岩の肩越しに十勝岳が見えて来る。上富良野岳を真正面に見ながら登って行くと、尾根道の登山道は八ツ手岩の裏側になり、一時、展望がなくなるが、その代わり紅葉した山肌を見ながら登って行ける。八ツ手岩と上富良野岳のコルからは上ホロカメットク山がゆっくり頭を出し始める。
八ツ手岩 上富良野岳 八ツ手岩の裏を 上ホロカメットク山が
 コルから最後の急登になり、再び、十勝岳が見え出すが、雲が押し寄せて来ていた。上富良野岳に上がると、雲の中で道標11「十勝岳●●まで3.5km」が分岐に立っている。目の前の「上ホロカメットク山」の火口側は雲で覆われてしまった。コルへ下りて行くと八ツ手岩が見えて出す。再び、コルから登りになり岩場を登って行く。
十勝岳 上ホロカメットク山 八ツ手岩 上ホロカメットク山
 一息入れながら上富良野岳を振り返える。最後の急登を登りきると「十勝岳」が見え出した。崖側が雲で覆われた山頂に着くと、愛棒は崖縁の岩に腰を掛けた。危ないから、山頂標識側に呼び戻す。
上富良野岳を振り返る 最後の登り 十勝岳が 山頂
 山頂で、ニペソツ山、ウペペサンケ山等の東大雪の山々を遠望しながら、遅い昼食をする。目の前にはなだらかな境山が見えていた。
                               ←大
十勝岳      ニペソツ山  ウペペサンケ山      境山
 少し晴れて来たので、安政火口を覗いたり、している内に、上ホロカメットク山の避難小屋を見たくなり、少し十勝岳寄りに下って見ると、赤い屋根の小屋が見えた。また、愛棒を一人にしているので、上ホロの山頂を見上げると、こちらを見ているようだった。
安政火口を 十勝岳 避難小屋(大×) 上ホロ山頂を振り返る
 見回すと、十勝岳から上ホロ避難小屋、遠くのニペソツ山、ウペペサンケ山、近くの境山、下ホロカメットク山が見えていた。何処からか鈴の音がするので、音の方向を見ると、一人の男性がトラバースの道を辿っていた。
                                         ←大
十勝 上ホロ避難小屋 ニペソツ ウペペサンケ   境山 下ホロカメットク
 山頂に帰って来ると、富良野岳や三峰山が見えていた。下ホロカメットク山と三峰山の間には北日高の山々が僅かに顔を覗かせていた。
                               ←大
境山 下ホロカメットク山   北日高の山々   分岐 三峰  富良野
 再び、雲が出てきたので、山頂で記念写真を写し早々に下る。途中で、安政火口が良く見え出し、愛棒があそこまで行ったと指を指した所は、私が引返した所よりも奥だった。富良野岳や八ツ手岩を見ながら上富良野岳に向かって下る。途中で、ランナーのような出で立ちの若者が駆け下りて行った。
山頂(大×) 安政火口 富良野岳を 八ツ手岩
 今度は下ホロカメットク山を横目で見て、上ホロカメットク山を振り返りながら登って行く。十勝岳が見え出す頃、上富良野岳に到着する。山頂で記念写真を写し、火口を覗きに行く。
下ホロカメットク山 上ホロカメットク山 十勝岳と上ホロ 上富良野岳
 上富良野岳から安政火口のパノラマと思うが、入りきらないので、カメラを45°傾けて写してみた。
                     ←大
八ツ手岩 安政火口 三段(頭を右に45°傾けて見てください)十勝岳 上ホロ
 道端にはフレップの赤い実がなっていた。富良野岳を見たり、上富良野岳を振り返ったりしながら下って行く。八ツ手岩の裏で、ランナーのような出で立ちの3人の若者が上がって来る。あっという間に、紅葉の斜面に消えて行った。
フレップの実 富良野岳を 上富良野岳を 紅葉を
 天気が持ち直したのか、富良野岳が良く見えて来た。振り返ると十勝岳と八ツ手岩、上富良野岳、十勝岳と次から次へと変わって行く。
富良野岳を 十勝岳と八ツ手岩 上富良野岳を 十勝岳
 もったいない景色なので、また、振り返ると八ツ手岩が良く見えていた。再び、目の前の化物岩に向かって階段を下る。ナナカマドの紅葉の中に真っ赤な実がなっていた。ようやく分岐に辿り着き、岩の上で休んでいたら、ナキウサギのビューッと言う鳴き声がニ三回聞こえた。空耳かと思い聞き耳を立て、辺りを見回すが、その後はなにも起こらなかった。
八ツ手岩 階段を下る ナナカマドの実 分岐
 道端のエゾオヤマノリンドウを見ながら下って行くと、安政火口の分岐に着く。今日は、枯れ沢のヌッカクシ富良野川を無事渡り終え、安政火口を振り返る。途中で、未練がましく振り返ると上ホロカメットク山、八ツ手岩、化物岩が見送ってくれているようだった。無事、駐車場に着いて登山届に下山を記帳してほっとする。
エゾオヤマノリンドウ 安政火口 上ホロと奇岩 駐車場に着く
 10月24日<1998(H10)年 登り2:17 下り1:54>
 富良野に着いたら、十勝山系は雪景色だった。富良野岳は晴れていたが、登山道は上ホロカメットク山の方が良いのではと思い上ホロカメットク山を目指す。
 十勝岳温泉の駐車場から安政火口まで遊歩道には雪がなかったが、ヌッカクシ富良野川を渡り、富良野岳の分岐から上の登山道には雪があった。D尾根に出ると雪化粧のした安政火口が覗け、対岸に夫婦岩が見えてくるので、二人で記念写真を撮し合う。登るに連れてカミホロカメットク山の方角に八つ手岩が見えだし、樹氷も綺麗だった。登山道は凍っているところもあり慎重に通過した。
遊歩道(大×) 安政火口(大×) 夫婦岩が(大×) 八つ手岩(大×)
 安政火口の上に大砲岩から三段山に下る吊尾根のOP尾根が見えて来る。上富良野岳越しに、上ホロカメットク山が見えて来るので、ここでも記念写真を撮し合う。上富良野岳に上がると、山頂標識は凍りつきエビの尻尾状態だったが、二人で記念写真を撮す。日の光に当っているのに、時折吹く風が痛く、エビの尻尾は融ける気配がなかった。
OP尾根が(大×) 上ホロをバックに(大×) 上ホロをバックに(大×) 上富良野岳(大×)
 上富良野岳から上ホロカメットク山にいったん下るが、分岐の標識は凍り付いていた。上ホロカメットクの頂上に上がると、霧が立ちこめていたが、山頂標識と記念写真を撮す。頂上には、雪の十勝岳を撮そうと、数人がんばっていた。突然、晴れて十勝岳が見えるので、カメラから離れられないようだった。われわれも、晴れるのを待っていると、突然、真っ白な雲の中から真っ白な十勝岳が浮き出てくる。その度に、歓声が上がる。
分岐(大×) 頂上(大×) 十勝岳と(大×) 十勝岳
 振り返ると、三峰山と富良野岳も見えていた。頂上は風が強く寒かったので、セーターの上にウインドブレーカーを着込み、昼食にする。昼食をしている間、真っ白な十勝岳が姿を現しては消えていた。今日、一番の風景だろうと思って、風で三脚が飛ばされるので、十勝岳をバックに記念写真を撮し合う。もう、晴れないだろうと思っていたら、青空にくっきり真っ白な十勝岳が姿を現してくれ、山頂の人達はの歓声がどよめきピークに達した。
三峰山と富良野岳 十勝岳と(大×) 十勝岳と 十勝岳
 上富良野岳に下る途中で安政火口の中に化物岩と思われる岩を見付ける。再び、上富良野岳の分岐に差しかかると、上ホロカメットク山が白い雲を引きながら十勝岳がくっきり現れたので、記念写真を撮し合う。
 下山は、日差しで表面が融け出した登山道を慎重に下って行くと、樹氷もパラパラと音を出して落ちだす。まるで、風鈴が風に揺れているようだった。イワヒゲ、ツガザクラ、キバナシャクナゲが多いところだった。
化物岩を覗く 分岐(大×) 上ホロカメットク山 樹氷(大×)
 

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 二人の山行記録(遊びの時間も含む) 
 2008(H20)年9月5日(金) 晴れ時々曇り 往復11.703(含むロス2.2)km 登り3:22 下り2:04 青字は安政火口並びに行き違いのロスタイム
 9:07駐車場→9:30三段山分岐→9:44安政火口分岐→9:53安政火口→9:59安政火口分岐→10:13富良野岳分岐→10:24引き返し地点(1550m)→10:30富良野岳分岐→10:41安政火口分岐→11:02富良野岳分岐→12:16上富良野岳→12:29頂上13:00→13:17上富良野岳→14:11富良野岳分岐→14:37安政火口分岐→14:50三段山分岐→15:04駐車場
 1998(H10)年10月24日(土) 晴れ時々曇り 登り2:17 下り1:54
 8:53駐車場→9:08三段山分岐→9:13安政火口分岐→10:52上富良野岳→11:10頂上11:52→12:05上富良野岳→13:10富良野岳分岐→13:32安政火口分岐→13:37三段山分岐→13:46駐車場